えふいずびーの無職生活

無職になりました。

悟りを開くまで・総括

このシリーズ引っ張りましたなぁ。ラストです。


いろんなものに答えを求めながら関西に帰ってきた私は、またサラリーマン生活に戻った。そのころの私のデスクには、
「あなたの悩みも、宇宙規模で考えたら
とるに足らないちっぽけなものだよヘーキヘーキ」
みたいな、飲み屋のトイレにありがちな標語が書かれたカードが貼られていた。
あんまり救われた気にはなれなかったが、そういうのに頼らねば駄目な段階まできていたので仕方ない。私は日中理不尽なことがあるたびに宇宙を思った。茫漠たる宇宙を思った。そのあと、目の前で柳眉をつりあげ怒鳴りつける女性上司を改めて見た。


宇宙とか、あんまり関係ないなぁと思った。


休日はとにかくだるかったが、閉塞感からとにかく逃れたくて、広い場所に出るようにした。

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フットボール

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甲子園。


ぼーっと試合を眺めながら、私はなにかを得たのか?と一生懸命考えた。目の前で必死な人たちをぼーっと眺める私は、このサラリーマン人生で、失ったものを補って余りあるほどの何かを得たのか?


得ていないな、と思った。


ももち浜で、会社で、或いはキンチョースタジアムで阪神甲子園球場で、なにを見ても思っても、心に重く影を落とすのはあのつり上がった柳眉だった。


広い場所ならまだ耐えられるが、毎日の通勤電車は狭くて空気が薄い。その頃には完全に柳眉の呪いにかかっていた私は過呼吸に苦しめられるようになっていた。
ある日、内臓がひっくり返りそうなほどの激しい噎せが始まり、ついに駅の片隅で蹲ってしまった。その瞬間に、


あ、もう無理無理


と悟ったのだった。


終わるときなんて、そんなもんだ。あっさりしたものだった。もうちょっと感傷に浸っても良かったのかもしれない。けれど、あの「無理」を認めた瞬間こそが、私がサラリーマン生活で得られた最高の瞬間にして最高の結末だったのだと思う。


結局、答えは自分の中にあったのだ。お手本のような青い鳥症候群。辛いときのお守りにしようと買ってきた「にわかせんぺい」マークのレザーキーホルダーは、ずっと部屋の枕元においてある。よかったね、にわかせんぺい。柳眉の呪いにかけられる前に普通のキーホルダーにもどれて、本当によかったね。